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2017年9月1日 日本経済新聞『十字路』
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2017年7月26日 日本経済新聞『十字路』
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2017年6月16日 日本経済新聞『十字路』
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2017年5月12日 日本経済新聞『十字路』
『日本のバブルと中国のバブル』
融緩和政策は資産インフレの主因である。経済成長や消費者物価上昇への効果は小さいが、資産価格に対しては極めて有効である。不動産や株式の価値が押し上げられ、この値上がり分を担保に借り入れることによって、購買力が飛躍的に増加する。
1985年のプラザ合意以降、円高不安におびえた日銀による超金融緩和政策は、かつてない資産インフレをもたらした。85年から90年にかけて、わが国の土地の時価総額は、1062兆円から2479兆円に1417兆円(年平均283兆円)増加した。この5年間の国内総生産(GDP)は年平均386兆円だったが、これに株価の上昇を加えると、毎年のGDPとほぼ同額の資産価値の上昇がもたらされたのである。
これだけの富の増加があれば、国内だけでなく、海外資産に日本買いが殺到していったのは当然だ。ロックフェラーセンターの買収は一例だが、現在の中国買いは、まさにこの再現といってよい。
資産インフレの怖さは、値下がりが始まると、全てが逆回転するところにある。90年から95年にかけて、土地の時価総額は600兆円減少した。金融引き締めもあったが、担保価値の下落によって、銀行の貸し出し姿勢が厳しくなり、購買力は急速に消え、資産デフレの時代に入っていく。
中国のバブルは、この日本の何倍かの大きさだけに、これが弾けると、世界中の不動産や国際商品相場に、大きな打撃を与えることになる。中国の膨大な購買力が消えていくのだからである。
バブルが崩壊するまでの景気は、いつも好調である。だから金融の引き締めが議論されるが、本気で締めてくれば、バブル崩壊の引き金となる。日本の90年代との違いは、世界中がバブル化していることだ。このリスクを抱えたなかでは、世界的な政治不安は一段と加速していくだろう。
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2017年4月12日 日本経済新聞『十字路』
『本当に利上げできるのか』
物価上昇の主要因は、賃金と石油と家賃である。リーマン・ショック以降の10年近い異常な超金融緩和政策のゆがみからきたものだ。実態経済の好転(生産性の上昇)ではなく、国際商品相場と不動産市場における再度のバブルと労働需給の逼迫からインフレが生み出されたのである。
問題はこのインフレ的傾向の持続性である。米国の消費者物価指数の直近の伸びは、前年比2.7%だが、エネルギーと食品を除くコア指数は2.2%、エネルギー価格の上昇が0.5%ポイント貢献している。指数の30%強を占める家賃を除くコア・コアは1.3%と、家賃上昇の効果が0.9%ポイントで、賃金上昇の効果はいまだそれほど大きいものではない。基調としての物価上昇率が落ち着いているのに、インフレの加速が懸念されるのは、失業率の低下にみられる労働需給の逼迫を予想するからである。
短期的にはともかく、中長期的には、これは当てはまらない。AI化が加速してきているからである。トランプ大統領は輸入によって雇用が奪われていると主張するが、AI化、合理化による効果が圧倒的に大きいというのが現実的な見方だ。不動産市場についても、最も値上がりが大きかったニューヨークなどで値下がりが始まっている
中国の過剰投資、過剰生産の調整には、数十年単位での時間が必要なことは、日本の経験からみても明らかだが、これは素原材料への需要がこれから大きく落ち込むことを意味している。金融緩和マネーが鉄鉱石や石炭の価格を急上昇させ、在庫が記録的な高さにまで積み上がるようなことが続くはずもない。
このように見ていくと、昨年もそうだったが、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを2回も3回もやれると考えるには無理がある。中央銀行の市場誘導的アプローチには冷静に対応すべきだろう。
