中前国際経済研究所(Nakamae International Economic Research)

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2018 / 12 / 30  08:00

新聞掲載情報

2018年12月19日 日本経済新聞『十字路』

『信用リスクと米国経済
 信用リスクの増大は、企業の資金コストを押し上げ、今回のバブルの根幹をなす企業の投機的な金融エンジニアリングを直撃する。M&A(合併・買収)や自社株買いを借り入れに頼ってきた企業の資金繰りが悪化する一方、社債や株価の値下がりで、投資家の損失が拡大するというバブル崩壊のプロセスが加速していくのである。
  ジャンク債に始まる社債利回りの上昇は、国債利回りの低下と同時に起きている。社債や株式が売却され、国債が買われているのだ。リスク回避志向が高まっているため、財政赤字と経常赤字の双方が拡大しているなかで、国債利回りが低下するほど資金シフトが大きいのである。
  市場が信用リスクに反応するようになったのは、10月に原油価格が急落し始めてからだ。ジャンク債市場の半分強がシェールオイル関連企業で、それまではFED(連邦準備制度)の引き締めにもかかわらず、原油価格が堅調だったため、ジャンク債市場の高利回りに資金が引き付けられていたのである。
  原油価格の急落は、また物価のインフレ懸念をデフレ懸念に変えてしまった。これは、すでに進行中の資産デフレを加速させ、その逆資産効果で投資や消費を落ち込ませ、経済の不況化を推し進める。量的金融緩和→資産インフレ→景気刺激のプロセスが逆回転を始めたのである。そうなると、FEDが利上げ回数を減らしても効果的ではない。資産インフレを止めたのは、利上げではなく、量的引き締めだからである。
  問題は、バブル崩壊後に、次なる量的緩和で再び資産インフレがつくれるかだ。さらに、保有資産の値下がりで、すでに負債超過になっているFEDに政策の決定が委ねられるのか、という政治問題が浮上していることにも、留意しなくてはならない。

 

2019.03.27 Wednesday