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2018 / 02 / 06  13:00

新聞掲載情報

2018年1月31日 日本経済新聞『十字路』

米貯蓄率低下が示す経済の弱さ
 貯蓄率の低下は、消費主導景気の行き詰まりを示す。可処分所得を上回る消費の伸びは貯蓄率を低下させ、所得が加速度的に上昇しない限り、先行きの消費の増加が見込めないからである。
 大方の楽観的予想(3%)に反して、昨年第4四半期の米国の実質国内総生産(GDP)成長率は2.6%にとどまったが、消費は3.8%に加速している。他方で可処分所得の伸びが1.1%でしかなかったので、家計の貯蓄率は2.6%と、リーマン・ショック後の景気回復過程での最低水準を更新している。
 貯蓄率の低下のなかで、消費の増加を支えてきたのは、消費者ローン、とりわけカードローンの伸びである。昨年第4四半期では、小売売上高の931億ドル増に対して、その3分の2にあたる613億ドルも増加している。低金利の下で、銀行が積極的に貸し込んだ結果だが、最近では、このローンのデフォルトも増え始めている。
 消費が堅調を続けるには、所得が伸びなくてはならない。賃金を平均時給でみると、直近2.5%(前年比)と伸びは横ばいだが、エネルギーなどの価格上昇のため、実質では0.4%と大きく落ち込んできている。今回の税制改革で所得税の減税も行われたが、減税の恩恵を受けるのは高所得者が中心だ。低所得者層は税を払っていないのだから減税効果は及ばない。
 株高で良い指標だけが注目されているが、自動車の生産、販売や法人税収などマイナスに落ち込んでいるものも多い。また、消費の堅調を映して、米国の貿易赤字の悪化が止まらない。とりわけ消費財や資本財で目立つ。トランプ流の貿易摩擦はともかく、消費や設備投資を増やそうにも必要な部門での供給力が不足した経済なのである。政治も市場もどこまで強気が押し通せるのか、注目したい。
※グラフ等の補足資料を加えたレポートはこちら(http://nier.co.jp/free/library)をご覧下さい。

 

2018.02.20 Tuesday