中前国際経済研究所(Nakamae International Economic Research)

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新着情報

2016 / 08 / 09  00:00

新聞掲載情報

2016年8月9日 日本経済新聞『十字路』

なぜ消費不況なのか

日本経済低速の主因は消費である。超低金利政策と円安による企業収益の改善が設備投資を増やし、その波及効果で消費が活性化するというシナリオが成立しなかったのである。また、金融緩和政策による株高も、消費に波及せず、所得と資産の格差を拡大しただけに終わっている。

消費不振は国際比較に鮮明だ。今年の第1四半期までの3年間の消費の伸びは、マイナス1.2%(実質)と主要先進国のなかで唯一のマイナスだ。米国は8.2%、欧州連合(EU)は5.1%伸びている。結果的に国内総生産(GDP)成長率は米国の6.7%、EUの5.1%に対して、1.4%にすぎない。

消費不振の第1の要因は、賃金の落ち込み、労働分配率の低下である。米国とは全く逆だ。雇用は伸びたが、低賃金の非正規労働の比率が一層高まってきている。

第2は、金利政策による家計から政府、企業への所得移転だ。老後に備えた膨大な貯蓄がリターンを生まない。政府は低金利の下で放漫支出を続け、企業は対外投資はしても、国内ではしない。また、円安政策は円建ての企業収益を増やしても、家計の実質購買力を減少させる。

相次ぐ経済対策が失敗してきたのは、企業が先行して事後的に家計が良くなるという波及が起きてこないためだ。グローバル化した経済では、企業の投資の選択肢は国内だけではないのだから、順番は逆でなくてはならない。先ず家計が富み、それが企業に波及して行くコースだ。

そのためには、先ず金利を引き上げ貯蓄のリターンを回復し、円高によって家計の購買力を増やしていくという逆の所得移転が必要だ。それによって、消費が活性化し、国内産業が回復していくというサービス化経済で必要な仕組みが整ってくる。第三の矢というが、必要なのは金利と為替の正常化なのである。

2017.12.12 Tuesday